< 日 常 編 〜 その一

日ごろ、何気なく使っている言葉にも、
語源や由来が仏教からのものがたくさんあります。
こちらでは、少しご紹介します。

其の一 其の二 其の三




● 挨 拶
  (あ い さ つ)
「挨」 も 「拶」 も押し合い、しのぎを削るの意で、 「一挨一拶」 (いちあいいっさつ) とも言う。 挨拶
もともとは禅宗の用語で、お坊さん同士が互いに質問を投げかけたり、意見を交し合ったりして相手の様子をうかがい、どの辺まで悟りの境地に達しているかを試すこと。
私たちが毎日何気なく交わしている今の挨拶は、この相手の様子を打診するという意味が発展し、儀礼化したもの。
一方、虫の好かない相手に文句を言ったり、因縁をつけたりするときにも「ちょっと挨拶してやるか」 などという言い方をするが、この場合はむしろ元の意味に近い。



● あなたまかせ 「あなた」 は阿弥陀如来。 つまり、阿弥陀様に全てを任せて、安心(あんじん)を得ること。
特に、中世の初めに法然が 「南無阿弥陀仏」 と唱える者はそれだけで安心し往生できると説いたが、
その教えがわかりやすく単純であったため、浄土宗として大流行した。
ただし、今では 「あなたまかせ」 といえば、物事を自分の力でやり遂げようとせず、
他人任せにしてしまう無責任な態度だけを意味するものに成り果てている。



● 阿弥陀籤
   (あみだくじ)
くじのやり方の一種。 今は人数分だけ縦棒を平行に引き、その棒の間に何本か横棒を加えるのが一般的になっているが、昔はその縦棒を放射線状に書き、中心に当たり外れがあった。
この放射線が阿弥陀如来の後光、つまり頭の後ろから放射している光に似ていたのでこの名前がつけられた。



● 一大事
   (いちだいじ)
仏典のベストセラー 『法華経』 (ほけきょう)「諸仏世尊は、ただ、一大事の因縁を持っての故に、世に出現したまふ」 と、あるものによる。
要するに、 「おシャカさんは、他でもない一番大切な理由があって、この世に現れなっさたのだ」 ということ。 その 「一大事の因縁」、つまり一番大切な理由とは、悟った真理を世の迷える人々に説き、理解させ、真理の道に入らせることをさす。
「大事」 というのも、元は 「一大事」 と同じ意味。が、今では、「これは大変!一大事!」といったように、「一大事」のほうだけが「大事件」の意味に変わってしまった。



● 縁 起
   (え ん ぎ)
因縁生起(いんねんしょうき)の略で、因縁によって起こる事柄、ありさまの事。
私たちが 「縁起がいい、悪い」 を気にすることは昔も今も変わらぬもの。
正月の門松や酉の市の熊手などは今でも 「縁起物」 として健在だし、「縁起でもないこと」 が起これば 「縁起直し」 に 「縁起をかつぐ」 ことをする。 日本人が縁起にこだわるのは、失敗や不幸な出来事を縁起のせいにして、気持ちの落ち込みをふるい立たせるという一面があったのかもしれない。



● 果報は寝て待て
   (かほうはねてまて)
「果報」 とは因果応報のこと。 過去の行いの報い、将来やってくる現在の行いの報いの意味であるが、 日本ではどういうわけか、良いほうの報い、つまり、幸運やしあわせだけをいうようになった。
「果報は寝て待て」 は、したがって、 「幸運は、じたばたしないで寝て待っていろ」 ということであり、 「果報者」 といえば、 「しあわせ者」 のこと。



● 行 儀
  (ぎ ょ う ぎ)
お坊さんの修行は行住坐臥(ぎょうじゅうざが)、つまり 「歩く」 「止まる」 「座る」 「寝る」 の全ての行いが礼式上の規律にのっとったものでなければならなかった。 その行為の規律をすなわち 「行儀」 といい、それがやがて行事の作法までをもさすようになったもの。
今では日常の立ち居振る舞いがごとく常識的な作法にのっとっているかどうかによって 「行儀が良い」 「悪い」 などという。



● 外 道
   (げ ど う)
インドでは、単に仏教以外の宗教やその宗教を信じる人のことを「外道」といった。
それが中国に入って一種の価値観が加わり、本筋から外れたものという広い意味になり、さらに日本では特にその意味合いが強くなって、 「この外道め!」 といえば 「人の道に外れたヤツ」 という、かなりあなどりさげすんだ表現になったわけである。



● 玄 関
  (げ ん か ん)
もとは禅宗の道に入る関門をいった。
「玄」 は、奥深くて微妙な道理、つまり仏教をさし、 「関」 は重要な入り口を意味する。 そこからまた、具体的に禅寺の客殿や書院の入り口を 「玄関」 と呼ぶようにもなった。 今は家の出入り口の代名詞にすぎず、 「玄関構え」 などない、ただのドア一枚でも、玄関は玄関である

 


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